15年の実践から見えた本質
カウンセリング実績1万件超のスピリチュアルカウンセラーが語る、アセンションの本当の意味
近年、スピリチュアル業界では「アセンション」という言葉が溢れています。SNSでも書籍でも、まるで誰もが手軽に到達できる目標のように語られ、「アセンション症状」や「アセンションのための10の方法」といった情報が氾濫しています。
15年間、1万件を超えるカウンセリングを通じて、私は多くの方々の魂と向き合ってきました。その中で、アセンションを求める人々の姿を数多く見てきました。そして、高次元からのメッセージを受け取り続ける中で、一つの確信に至ったのです。
それは、多くの人が追い求めている「アセンション」は、実は矛盾をはらんだ願望だということです。
アセンションとは何か
まず、アセンションの本質を理解する必要があります。
アセンションとは、文字通り「上昇」を意味し、スピリチュアルな文脈では、より高次の意識状態へと進化することを指します。
それは最終的に、物質的な肉体を必要としなくなる次元への移行を意味します。肉体という制限から解放され、純粋な意識存在となる──これがアセンションの本来の姿です。
高次元の存在たちは、肉体を持ちません。彼らは波動そのものであり、エネルギーそのものです。私たちが目指すべきアセンションとは、その状態に近づいていくことなのです。
エゴという名の鎖
では、肉体を持ちながらアセンションすることは可能なのでしょうか。
カウンセリングの現場で、私はこう問いかけられることがあります。
「どうすればアセンションできますか?」「アセンションするために何をすればいいですか?」
その瞬間、私は深い悲しみと同時に、真実を伝えなければならないという使命感を感じます。
なぜなら、その「アセンションしたい」という願望そのものが、すでにエゴの現れだからです。
エゴとは、「私」という個別の存在感、分離の意識です。「私がアセンションしたい」「私が高次元に行きたい」「私が特別な存在になりたい」──この「私が〜したい」という構造そのものが、エゴなのです。
肉体を持ちながらアセンションを目指すには、エゴを手放すことが不可欠です。しかし、「アセンションしたい」と願う時点で、私たちはすでにエゴの意識の中にいます。まさに、矛盾の渦中にいるのです。
実践者として見てきた真実
私自身、スピリチュアルな実践を深めるほどに、この矛盾に直面してきました。
チャネリング、オーラリーディング、サイキックリーディング──さまざまな能力を磨き、高次元と繋がる経験を重ねてきました。
そして気づいたのです。能力が開花すればするほど、本当に高次の意識に近づくほど、「私」という感覚は薄れていきます。
個の境界が溶け、全てと一つになっていく感覚──それこそが真のスピリチュアルな進化です。
しかし、肉体を持って生きている限り、私たちは完全にエゴを手放すことはできません。食事をする、眠る、人と関わる──これらすべてに「私」という主体が必要だからです。
スピリチュアルごっこという罠
現代のアセンションブームの中で、私が最も危惧しているのは、「アセンションごっこ」に陥っている人が多いことです。
アセンション症状のチェックリストを見て「私にも当てはまる!」と喜び、ライトワーカーやスターシードといった特別な呼称に酔いしれ、「覚醒した私」を演じる──これは真のスピリチュアルな成長とは程遠いものです。
むしろ、それは新たなエゴの形態です。「スピリチュアルに目覚めた私」「他の人より進化している私」という、より巧妙なエゴです。
高次元からの視点
チャネリングを通じて高次の存在たちから繰り返し伝えられるメッセージがあります。
「執着を手放しなさい。アセンションへの執着も含めて」
なんという逆説でしょうか。アセンションしたいという願望を持つことが、アセンションを遠ざけてしまう。求めれば求めるほど、その目標は遠ざかっていく。
これは禅の公案のようでもあります。「悟りを求める心が、悟りを妨げる」という教えと同じ本質を持っています。
結論──肉体とエゴの真実
15年間の実践と、1万件を超える魂との対話を通じて、私はこの結論に至りました。
肉体を持ちながら、エゴのない世界に行くことは不可能である
これは諦めや否定ではありません。むしろ、真実を見つめることから始まる、本当のスピリチュアルな旅への招待です。
肉体がある限り、私たちは個としての「私」を持ち続けます。そして、それは悪いことではないのです。肉体を持つこと、エゴを持つことは、この三次元で学ぶために必要な条件なのです。
真のアセンションとは、肉体を持ったまま無理に高次元に行こうとすることではありません。それは、今この瞬間に、与えられた肉体とエゴを持ちながら、どれだけ愛と調和の中で生きられるか──その実践そのものなのです。
「アセンションしたい」という願望を手放した時、私たちは初めて真の意味で成長できます。矛盾のように聞こえるかもしれませんが、アセンションを求めることをやめた時、私たちは本当の意味で高次の意識に近づくことができるのです。
スピリチュアルなプロフェッショナルとしての願い
私がこのコラムを通じてお伝えしたいのは、表面的なスピリチュアルブームに惑わされないでほしいということです。
あなたは、今ここにいることで、すでに完璧です。アセンションを目指す必要はありません。ただ、今この瞬間を、自分らしく、誠実に、愛を持って生きること。それこそが、最も高次元的な生き方なのです。
肉体を持つ私たちにできる最高のスピリチュアルな実践──それは、エゴの存在を認めながら、それに振り回されず、ただ今を生きることなのかもしれません。

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